食物繊維の摂り過ぎも要注意

食物繊維は不足ぎみ?

日本人はもともと肉よりも魚をよく食べ、豆類などから食物繊維もたっぷりと摂取していました。しかし、食の欧米化が進むにつれて食物繊維の摂取量は低下していき、国が目標とする摂取量には到達していないというのが現状です。食物繊維が豊富な食材には、いんげん豆やごぼう、切干しだいこん などが挙げられます。わかめやひじき、きくらげなどにも豊富に含まれています。

 

食物繊維を摂り過ぎていることもある?

しかし、そんな食物繊維も取りすぎれば健康に害が生じてしまいます。これは、不足する食物繊維を補おうとさまざまな対策がなされたことで生じることもあります。例えば、化学技術の力で作られた難消化性デキストリンは、不足を補うために使われるようになった経緯があります。デキストリンとはデンプンという意味で、難消化性デキストリンはトウモロコシを原料として作られた食物繊維です。お菓子やジュースなど、非常に幅広い食品に用いられており、特に、カロリー控えめ、糖質ゼロといったダイエット目的の商品に使われているのが特徴です。パッケージ裏に書かれた原材料をじっくりと見てみると良いでしょう。自分でも知らない間に意外と多くの食物繊維を摂取していることは珍しくありません。難消化性デキストリンは安全性も高く、摂取量の上限が定められているものではないのですが、摂り過ぎればやはり何かしらの不調に見舞われることもあるので注意が必要です。

 

難消化性デキストリン

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とがあり、難消化性デキストリンは水溶性食物繊維に分類されます。胃で吸収されることはほとんどなく、小腸で15%ほどが吸収され、残りは大腸まで到達して腸内細菌の発酵などに使われることになります。また、糖質やコレステロールなど、現代の私たちが摂り過ぎてしまいがちなものを吸収するのを防いでくれるうれしい成分です。肛門から排せつされるのは全体の10%程度で、大腸で食物繊維としての大きな役割を果たしてくれます。

しかし、食物繊維は摂り過ぎれば必要な栄養素が吸収されるのも抑制してしまうことがあります。これでは、せっかく健康のためにと頑張って食べたものも身体を通過するだけになってしまいます。また、難消化性デキストリンは前述したように大腸で腸内細菌の発酵に使われます。その結果生成されるのが短鎖脂肪酸やガスで、お腹がパンパンに張ったりおならが大量に出たりと困った症状を起こすこともあるのです。

食物繊維は単純に必要な摂取量を取ればOKというわけではなく、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とをバランスよく摂取することも大切です。バランスは前者が1に対して後者は2というのが理想なので、水溶性食物繊維である難消化性デキストリンの摂取は全体のバランスを保つには細心の注意が必要となります。難消化性デキストリンに頼り過ぎず、食品からの摂取も心掛けるようにしましょう。